早く帰れたので、日のあるうちに公園に向かう。今日に限って鳴いている蝉の声の中にツクツクホウシのように聞こえたものがあり、ここのところ絶えて聞かなくなっていたのではっとした。そのあと、路肩の家の生け垣に立て続けに二つ蝉の抜け殻(たぶん油蝉)を見つけ、あの、透明な複眼の部分やバルタン星人のようなくちばし(正式には樹液を吸う管をなんというか知らん)を思いだし、幼虫から蝉が脱皮するところをお客さんに見せたら受けるだろうなどと考えながら歩いていると、なんと、アスファルトの上を歩いているじゃないか、幼虫が。指を出すとなんのためらいもなく這い登ってくる。そりゃあ、命をかけた脱皮のために、早くいい枝にぶら下がりたいんだから、上の方向に伸びるものがあればいそいそと登るわな。そのままシャツの肩にとまらせて公園へ。適当な枝にとまらせてやろうと思って公園にはいると、件の親子がサッカーをの練習をしている。お父さんのほうに声をかけ、蝉の幼虫君をプレゼントした。小学校3,4年くらいの男の子は、父親から受け取った動くおもちゃを凝視、「初めて見たぁ」と、いささか興奮気味、そうこなくっちゃぁね。その後親子は今夜羽化するであろう蝉を持って、練習を切り上げて帰っていった。深夜から明け方に欠けて神秘的な様子を見ることができるだろう。夏の夜更かしも、たまにはいい。
